皆さんこんにちは。
カウンセリングを行なっている臨床心理士の菜月じゅんです。
臨床心理士になって心療内科や精神科で働くことに興味があるけど、どんな実態なのかわからない。
そんな方、いらっしゃるんじゃないでしょうか。
今回は、心療内科・精神科の臨床心理士の仕事について解説していきたいと思います。
【心療内科の業務】
心療内科もクリニックによって臨床心理士が行う業務内容は異なってきますが、行う可能性のある業務ついて何個か挙げてみましょう。
たとえば、心療内科の臨床心理士は、検査、デイケア、インテーク、カウンセリング、受付事務を行う可能性があります。
それでは、以上の業務に関して個別に見ていきましょう。
【検査】
検査について。
検査に関しては、Drが診察の中で患者さんに必要な検査を提案し、同意を得ます。
検査が質問紙の場合は、患者さんに検査用紙を渡して書いてきてもらいます。
記入済みの用紙を受け取ったら、臨床心理士が採点と報告書作成を行います。
報告書は紙カルテに保存したり、電子カルテに保存したりします。
一方、検査が対面検査の場合は、臨床心理士に指定された検査の実施オーダーが入ります。
後日検査を実施し、結果の採点と報告書作成を行います。
対面検査の報告書も、紙カルテに保存したり、電子カルテに保存したりします。
実施する検査としては、知能検査、発達障害検査、性格検査、気分の検査、認知機能検査などを実施する可能性があると思います。
知能検査としては、たとえば、WAIS、WISC、ビネー知能検査などが多いと思います。
発達障害検査としては、AQ、PARS、Conners、CAARS、CAADIDなどを行ったりします。
性格検査は、バウムテスト、風景構成法、SCT、ロールシャッハ、PFスタディーなどを行うと思います。
気分の検査は、BDI、SDS、CES-D、STAI、Y-BOCSなどを行う可能性があります。
認知機能検査は、長谷川式認知機能スケールなどを行う場合があります。
とりわけ検査の中でも知能検査のWAIS、WISCは多くの心療内科で実施する可能性の高い検査です。
臨床心理士指定大学院の院生のときにWAIS、WISCの実施と解釈はできるようになっておくと良いと思います。
また、心理検査を行う臨床心理士を現場では「テスター」と呼ぶことがあります。
【デイケア】
デイケアについて。
デイケアというのは、主に会社を休職している患者さんが復職のリハビリとして通う集団プログラムです。
デイケアは広い部屋で10人から20人ぐらいの患者さんと数名の医療従事者で実施されます。
デイケアに関わる医療従事者としては、臨床心理士以外にも精神保健福祉士、作業療法士、看護師など様々です。
デイケアは朝から夜までの間に複数のプログラムが行われます。
患者さんは自分が参加したい時間帯のプログラムだけ参加していきます。
デイケアプログラムの内容としては、たとえば、認知行動療法、ストレスコーピング、リラクセーション法、SST、アートセラピーなどを行なったりします。
デイケアプログラムはスタッフたちが作っていく為、プログラムの教材作りに結構な時間がかかります。
教材作りは、勤務時間内に作る時間がある場合もあれば、勤務時間外で作る場合もあると思います。
その点は学校の教師と似ているかもしれません。
プログラムを実施するときは、スタッフはファシリテーター役、サポーター役など役割分担して実施にあたります。
ファシリテーターは教材を用いて説明を行ったり、患者さんに意見や感想を聞いたりしていきます。
サポーターは患者さんの近くで患者さんが効果的にプログラムを受けられるようにサポートします。
【インテーク】
インテークについて。
インテークというのは、患者さんの主訴や生育歴をアセスメントして今後の効果的な支援につなげていく為の初回の面接のことです。
心療内科の場合は、カウンセリング希望者に限らず、初めてクリニックに来た初診患者さんに対して行なう場合が多いと思います。
心療内科のインテークは、10分から20分程度で行なうことになります。
カウンセリングルームの場合は、50分から90分ほど行なうことがあるので、それは心療内科とカウンセリングルームの違いかもしれません。
インテークで聴取することは、たとえば、患者さんの主訴、現病歴、家族、生育歴、既往歴、睡眠・食事・運動の状況などがあります。
インテークで聴取した内容は報告書を作成し、紙の報告書か電子カルテでDrに確認してもらうという流れになります。
報告書をパソコンで作成することになる為、患者さんの診察を待たせない為にタイピングスピードが重要です。
【カウンセリング】
カウンセリングについて。
心療内科の臨床心理士の仕事と言えば、カウンセリングというイメージが強いでしょうか。
しかし実際は、検査、インテーク、デイケア、受付事務などは行なうけど、カウンセリング業務は行わないという求人も多いです。
心療内科でカウンセリングがやりたい人は、カウンセリングができる求人かチェックした方がいいですね。
心療内科でのカウンセリングは、大体1回25分から50分で行なう場合が多そうです。
対象となる患者さんも多様です。
精神疾患を持たない人から、うつ病、不安症、パーソナリティ障害、統合失調症の方まで様々です。
臨床心理士が行う心理療法のアプローチに関しては、Drから指定される場合もあります。
しかし、どのようなアプローチを取るかは臨床心理士の裁量に任せられている場合も多いです。
その為、認知行動療法、精神分析、人間性心理学など比較的自由に実施できる心療内科もあります。
ほとんどの心療内科ではカウンセリングの記録を取ることになっています。
紙で記録する場合だったり、パソコンで記録する場合など心療内科によって記録形式は変わります。
【受付事務】
受付事務について。
小規模の心療内科では臨床心理士が受付事務をする場合もあります。
受付事務として行うこととしては、たとえば、来院した患者さんの受付手続き、新規患者さんの登録手続き、会計、電話対応、傷病手当や自立支援医療の書類作成などがあると思います。
電話対応としては、診察・カウンセリング・検査の予約、診察・カウンセリング・検査の日程変更の電話が多いと思います。
また、新規の患者さんのことを現場では「新患」と呼んだりします。
【1日のスケジュール】
心療内科の臨床心理士の1日のスケジュールについて。
1日のスケジュールは、臨床心理士がどのような業務を担当するかでだいぶ変わってきます。
たとえば、午前と午後ずっと検査を行うパターンもあります。
午前と午後ずっとデイケアを行うパターンもあります。
午前と午後ずっとインテークを行うパターンもあります。
午前と午後ずっとカウンセリングを行うパターンもあります。
午前に何かの業務をして、午後に別の業務というパターンもあります。
始業は9時、10時、終業は18時、19時ぐらいのところが多そうです。
残業があるかどうかは心療内科によって変わると思います。
残業があるとしたら、検査の報告書作成や、デイケアプログラム終了後の事務作業で残業することがありそうです。
【まとめ】
今回は、心療内科・精神科の臨床心理士の仕事について解説させて頂きました。
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カウンセリングを行なっている臨床心理士の菜月じゅんでした。
それではまた。