皆さんこんにちは。カウンセリングを行なっている臨床心理士の菜月じゅんです。
今回は、臨床心理士がどのような所でどんな仕事をしているのかについてお話したいと思います。
【臨床心理士の職場・仕事】
まず、臨床心理士が働く可能性のある領域は大きく5つあります。
5つの領域とは、医療、教育、福祉、産業、司法です。
それでは、それぞれがどのような領域であり、どのような職場があるのか順番に見ていきましょう。
【医療】
まず医療領域です。
医療領域の職場には、心療内科・精神科クリニック、病院、保健所などがあります。
医療領域の職場ごとに仕事内容は異なってきますが、インテーク、カウンセリング、子どもの発達の相談、心理検査、デイケアプログラム運営、事務対応などの仕事があります。
ドクターや精神保健福祉士、看護師、受付などのスタッフと連携して仕事を行ないます。いわゆるリエゾンですね。
心理検査は、WAISとWISCを行なう職場が多いので、大学院生のときにWAISとWISCの実施と解釈ができるようになっていると良いと思います。
デイケアプログラムは精神疾患の治療であったり、休職している人の復職リハビリなどの為に行ないます。
デイケアでは10人〜20人ぐらいの患者さんに対して、集団認知行動療法やSSTを実施します。
その中で臨床心理士はファシリテーターやサポーターとして動いていきます。
医療系の心理士の待遇についてです。
医療系の心理士の待遇はあまり良くないです。
非常勤が多く、正規職員だとしても給料はあまり高くないです。
しかし、皆さんがイメージするいわゆる心理療法を用いる継続的なカウンセリングを行なうのは、5つの領域の中でも医療領域ぐらいです。
その為、カウンセリングがしたい人は医療領域が合っていると思います。
【教育】
次は教育領域です。
教育領域の職場には、小学校、中学校、高校、大学、専門学校、教育相談所などがあります。
学校系で働く臨床心理士はスクールカウンセラーとも言われますね。
教育領域の職場の仕事としては、教師や保護者へのコンサルテーション、学生へのカウンセリング、子どもの発達の相談、不登校の相談などがあります。
小学校、中学校、高校までは教師や保護者へのコンサルテーションが多く、大学や専門学校は学生へのカウンセリングが多いイメージです。
地域にある教育相談所は、子どもの発達の相談や、不登校の相談が多いと思います。
教育領域では、基本的には、いわゆる心理療法や心理検査は行ないません。
教育系の心理士の待遇についてです。
教育系の心理士の待遇は比較的良い方です。
スクールカウンセラーは非常勤が多いですが、時給が高いところが多いです。
しかし、スクールカウンセラーの求人は少ないので、就職のハードルが少し高いです。
【福祉】
次は福祉領域についてです。
福祉領域の職場としては、児童相談所、障害者支援機関などがあります。
福祉領域の仕事としては、虐待児に対するカウンセリング、発達障害者・身体障害者・知的障害者に対する集団プログラム実施、保護者へのコンサルテーションなどがあります。
集団プログラムは、複数のスタッフで実施を行ないます。メンバーは臨床心理士や精神保健福祉士、社会福祉士、保育士などがいると思います。
福祉系の心理士の待遇についてです。
福祉系の心理士の待遇は割と良いです。
正規職員の案件も多く、給料もそれなりにもらえます。
求人は比較的多く、就職しやすい方だと思います。
【産業】
次は産業領域についてです。
産業領域の職場としては、企業内相談室、EAP機関などがあります。
EAP機関というのは、従業員援助プログラムを行なう機関のことであり、様々な企業の従業員に対してメンタルヘルス支援を行なっています。
産業領域の仕事としては、従業員に対するカウンセリングや、ストレスマネジメント研修実施などがあります。
産業系の心理士の待遇は比較的良い方です。
正規職員案件が多く、給料もそこそこもらえます。
しかし、求人数がとても少ないので、狙って就職することは非常に困難だと思います。
【司法】
次は司法領域についてです。
司法領域の職場としては、家庭裁判所、少年鑑別所、少年院、刑務所などがあるとされます。
司法領域の仕事としては、犯罪を行なった人に対する心理検査やカウンセリングなどがあります。
司法系の心理士の待遇についてです。
司法系の心理士の待遇は、基本的に身分が公務員になる為、正規職員であり、給料も高く、恵まれています。
しかし、公務員試験を突破しないといけない為、就職に一番労力がかかる領域と言えます。
【その他】
また、5つの領域に当てはまらない職場についても少しお話します。
そういったその他の領域としては、カウンセリングルームや、大学教授、心理系の予備校などがあります。
カウンセリングルームでは、ベテランの臨床心理士がカウンセリングを行ないます。
待遇は、出来高制が多く、実力主義です。
大学教授は、臨床心理学の研究をして論文を執筆しつつ、学生に対する授業やゼミの運営を行ないます。
待遇は、助手・講師・准教授・教授といった位によって変わってきますが、心理系の中でもトップクラスの待遇になります。
しかし、就職と昇格のハードルは尋常ではないと思います。
心理系の予備校では、臨床心理士指定大学院への入学を目指す学生たちに向けて、心理学・英語・統計学の授業を行なったり、チューターとして相談に乗ったり、研究計画書の添削を行なったりします。
待遇は、大学受験予備校の講師やチューターに準ずると思います。
【まとめ】
今回は、臨床心理士が働く5領域とプラスアルファの職場と仕事についてのお話をしました。
次回もまた、皆さんに役立つお話をしていこうと思っていますので、楽しみにしていてください。
それでは、カウンセリングを行なっている臨床心理士の菜月じゅんでした。