【体験談】臨床心理士指定大学院とは?大学院生活はどんな感じ?【臨床心理士が解説】【菜月じゅんカウンセリングルーム】

2020年8月7日大学院, 臨床心理士

皆さんこんにちは。カウンセリングを行なっている臨床心理士の菜月じゅんです。

今回は、臨床心理士指定大学院がどのようなものか、大学院生活がどのようなものかについてお話していきます

【臨床心理士指定大学院とは】

臨床心理士指定大学院とは、臨床心理士資格の受験資格が得られる大学院です。

臨床心理士指定大学院は全国に約150校あります。

たとえば、東京であれば約30校ほどあります。

各大学院ごとに専門分野が異なる教授が所属しています。

その為、たとえば、この大学院には認知行動療法が専門の教授がいるけど、あっちの大学院にはいない、ということが起きます。

たとえば、早稲田大学は認知行動療法系の教授が多く、上智大学はユング系の教授が多いです。

臨床心理士になるには、基本的に臨床心理士指定大学院に入学し、修士過程を修了し、修士の学位を得ることが必要です。

修士過程は2年間あります。

2年間臨床心理学に関する勉強や研究、訓練を行なって行きます。

活動としては、授業や、ゼミ、実習、相談室でのカウンセリング、事例検討会、研修会などがあります。

そのような活動を通して、心理臨床の専門家になる為に研鑽していきます。

ところで、修士は英語でmasterなので、masterの頭文字のMを考慮して、修士過程1年生をM1、修士課程2年生をM2と呼ぶ文化があります。

そして院生の人数は、1学年あたり10人前後になります。

その為、M1が10人、M2が10人ぐらいのイメージになります。

【大学院生活のスケジュール】

大学院生活のスケジュールに関してです。

大学院に入学したら、M1はまず授業を受けたり、どのゼミに入室するかを決めていきます。

M1の前期と後期の授業は、1週間で、1時間半の授業を5コマ前後受けることになるかと思います。

ゼミは週に1コマあります。

授業では、頻繁にレジュメ作成が必要になります。

また、ゼミでは、事前に過去の論文を調査し、読み込んでから、ゼミ内で教授と話し合っていきます。

つまり、先行研究をしてからゼミ内で教授と話すということです。

これらの為、授業のレジュメ作成や、ゼミの先行研究などを授業やゼミの時間外で行なわないといけません。

その為、特にM1の時期はとても忙しく、アルバイトをする余裕はほぼないと考えておいた方が良いと思います。

また、入学から修了までの期間、1回2、3時間ぐらいの事例検討会や研修会が月に1、2回程度開催されます。

M1の後期やM2の前期から、相談室でのカウンセリングや、外部機関への実習が始まります。

また、M1・M2の前期や後期の終わり頃に、ゼミの研究内容の発表会があります。

M2になってからは、授業は減りまして、主な活動はゼミと実習、相談室でのカウンセリング、事例検討会、研修会です。

M2の後期の終わり頃に、ゼミで研究している論文の提出締切があり、その直後にゼミの発表会があります。

その発表会でのプレゼンと教授陣との質疑応答によって、論文の合格か不合格が決まり、論文が合格であれば、大学院を修了できます。

それでは、それぞれの活動をもう少し詳しく見ていきましょう。

【授業】

まず、授業ですが、授業テーマとしては、精神医学、心理療法、心理検査、認知心理学、社会心理学、発達心理学、質的研究法、量的研究法、統計学などがあると思います。

もちろんこれ以外の授業テーマもあります。

授業の参加者は、大学生は含まず、その授業を履修した院生だけになります。

その為、基本的には、同期の院生たちと授業を受けます。

大体5人〜10人ぐらいのメンバーになります。

そして、大体どの授業でも毎週院生が作成したレジュメを発表することになっています。

授業の参加メンバーたちの持ち回りでレジュメを作成し、後日発表します。

つまり、院生一人あたり、一つの授業で月に1回ぐらいレジュメの発表があります。

どの授業もそのような感じなので、授業全部を合わせると、月に5回ぐらいレジュメ発表があります。

つまり、大体毎週1つのレジュメを作成しないといけないということですね。

レジュメの作成は、教授から与えられたテーマに関して、自分で0から調べていって、そして一人でレジュメを作成するのでなかなか大変です。

レジュメ作成にあたっては毎回図書館や論文検索サイトのciniiを利用することになると思います。

該当テーマの書籍や論文を片っ端から集めて、テーマの関連部分だけを読み込み、レジュメにまとめていきます。

授業でレジュメ発表をしたら、質疑応答やディスカッションを行ないます。

大体どの授業も、教授より院生が主体的に動かないといけない仕組みとなっています。

大学生のときの受け身の授業とは全く異なる環境となっています。

【ゼミ】

次は、ゼミについてです。

ゼミでは、論文を執筆する為のやりとりを指導教授とともに行なっていきます。

入学願書を提出するときに、研究計画書も提出しているので、そのときの研究計画書をベースに研究テーマを教授と一緒に決めていきます。

研究テーマは先行研究なしでは決められない為、まずは過去の論文を読み漁って、先行研究をしていきます。

先行研究を進めていると、まだ研究されていない部分が見えてきますので、そういったことを踏まえてオリジナリティーのある研究テーマに決めていきます。

研究テーマによって、行なう研究法が変わってきます。

質問用紙を使った調査や、インタビューを行なう調査、実際に何かしてもらってそれを観察する調査など様々な種類の調査・研究があります。

そしてその調査結果を統計学を活用した量的研究法の分析手法を用いて分析したり、質的研究法の分析手法を用いて分析します。

それらの研究結果を含めた論文を最後執筆します。

分量は、大体A4で数十ページにのぼります。

【実習】

次は実習についてです。

実習は、大学院の外の機関に実習に行きます。

外部の機関としては、病院、学校、福祉施設などの機関に行くことになると思います。

実習は2種類ありまして、一つ目が短期の実習、二つ目が長期の実習です。

短期の実習は、外部機関に1日から数日通って、職場体験をする内容となっています。

長期の実習は、週に1日から2日程度、外部機関に数ヶ月以上通って、実際に戦力として働くといった内容となっています。

実習先は大学院の教授たちが調達してくださり、その中から院生たちが実習先希望を教授陣に伝えていきます。

実習が始まったら毎回A4で1枚程度の報告書を書くことになるので、それもなかなか大変だったりします。

【相談室でのカウンセリング】

次に相談室でのカウンセリングについてです。

どの大学院にも学外の一般の人向けの心理相談室が設置されています。

その心理相談室でのカウンセリングを院生が担当していきます。

大体1回1時間前後のカウンセリングだと思います。

それを相談者、クライエントと言いますが、クライエントと定期的に行なっていきます。

大体カウンセリングの頻度は毎週か隔週が多いと思います。

そして、カウンセリングを行なったら、セキュリティに配慮しながら、カウンセリング内容を毎回記録します。

そして、ベテランの臨床心理士によるスーパービジョンを受けていきます。

カウンセリング記録の取り方は、会話内容をそのまま全て文字に起こす「逐語記録」が主流です。

逐語記録は分量が多い為、書き上げるのに数時間かかります。

それを毎回のカウンセリングの後に行ないます。

【事例検討会】

次は、事例検討会についてです。

事例検討会では、院生が担当したカウンセリングについて、セキュリティに配慮した上で、教授陣と院生たちでディスカッションするものです。

事例検討会では、発表者の院生にも、オーディエンスの院生には何かしらの意見が求められます。

1回あたり2、3時間行ないます。

【研修会】

次は研修会についてです。

研修会は、様々な講師を外部から招き、心理臨床に関する研修を受けるというものです。

講師は、大学教授や、病院関係者、学校関係者、福祉施設関係者、司法機関関係者など様々なバックグラウンドをお持ちの方がお越し下さります。

1回あたり2、3時間ほど行ないます。

【まとめ】

以上のように、臨床心理士指定大学院では授業やゼミ、実習、相談室でのカウンセリング、事例検討会、研修会などの活動があります。

また、M1のときは授業が多く、M2になってからはゼミで忙しくなりやすいスケジュール感となっています。

今回は、臨床心理士指定大学院がどのようなものか、大学院生活がどのようなものかについてお話させて頂きました。

次回もまた皆さんに役立つお話をしていこうと思っていますので、楽しみにしていてください。

それでは、カウンセリングを行なっている臨床心理士の菜月じゅんでした。