皆さんこんにちは。カウンセリングを行なっている臨床心理士の菜月じゅんです。
今回は、臨床心理士試験で合格ラインまで得点アップさせる勉強法についてのお話をしていこうと思います。
【臨床心理士試験の概要】
まず、臨床心理士試験の概要について確認しましょう。
臨床心理士試験は、毎年11月頃に心理学に関するマークシート問題と小論文の試験があり、12月頃に面接試験があります。
つまり、合格する為に対策していく分野は、マークシート、小論文、面接ということになります。
マークシート問題は100問を試験時間150分で解きます。
小論文は1001字以上から1200字以内の字数を試験時間90分で書きます。
面接試験は、面接官二人と15分程度の会話を行ないます。
合格ラインはマークシート問題は大体60%の得点、小論文は1001字以上です。
面接試験は、臨床心理士としての人間性やコミュニケーション力が多分評価されています。
それでは、試験を個別に見ていきましょう。
【マークシート問題】
まずは、マークシート問題についてです。
出題分野は、心理学の基礎が20問、査定30問、面接30問、地域援助10問、総合問題10問ぐらいとされています。
この100問のうち60問以上正解できると合格ラインに届きそうです。
ちなみに、臨床心理士試験の問題は「心理臨床大事典」という本から主に出題されているようです。
しかし、この心理臨床大事典はA4サイズで字も小さい上に1480ページもある為、試験対策として通読する必要は一切ありません。
マークシート対策のおすすめの参考書を紹介しましょう。
★心理学専門校ファイブアカデミー, 2020, 『一発合格! 臨床心理士対策テキスト&予想問題集』, ナツメ社 www.amazon.co.jp/dp/4816368515
です。
この本は臨床心理士試験に出題された分野だけ書いてあり、説明文も長過ぎず、一切の無駄がありません。
試験範囲の9割近くを網羅することができる臨床心理士試験における最強の本です。
この本を信じて全ページを必ず暗記しましょう。
この本は最低でも3週は通読しないと、試験で得点できないと思います。
普通に合格したいなら5週、余裕で合格したいなら10週すると良いと思います。
また、たとえば査定分野は、検査名と開発者、適応年齢、質問項目数、カットオフ値など細かく出題される為、通読して記憶を「記銘」するだけでなく、記憶を「想起」することが非常に重要です。
心理面接の分野などは「再認記憶」で得点できますが、査定の分野は細かく数値を思い出さないといけない為、再認記憶では対応ができません。
査定分野では、「再生記憶」が必要になります。
再認記憶の強化は通読で充分です。
しかし、再生記憶の強化には、記憶の「想起」の作業が必要になります。
また、心理検査の特徴について、ノートやパソコンで整理してリストを作ると、違いが一目瞭然になるのでおすすめです。
その際、オレンジ色で文字を書けば、赤シートで隠して思い出す作業ができるので、そういうやり方もいいかもしれません。
特にリストとして整理しておきたいテーマは、「ロールシャッハ」「発達検査」「知能検査」「神経心理検査」「質問紙検査」などです。
査定分野ができないと、結局試験で数問落としてしまい、60%ギリギリの得点になりがちです。
しかし、査定分野をしっかり暗記すれば、安定して70%、80%得点することができます。
特に査定分野は力を入れて勉強したいところです。
次の本。
★日本臨床心理士資格認定協会, 2018, 臨床心理士資格試験問題集 4: 平成26年〜平成28年, 誠信書房 www.amazon.co.jp/dp/4414416361
この本は公式の過去問集です。
シリーズ4番目のこの本では、平成28年、27年、26年の過去問とその解説が書かれています。
シリーズの3番目、2番目、1番目もほぼ同じように過去に実際出題された問題が書かれていますので、こちらも同様におすすめです。
全受験生必携です。
次の本。
★日本臨床心理士資格認定協会, 2020, 『新・臨床心理士になるために[令和2年版]』, 誠信書房 www.amazon.co.jp/dp/4414416698
この本は毎年シリーズものとして出版されている公式の過去問です。
問題は1年分しか載っていませんが、前述の問題集に収録されていない最新の過去問が載っています。
前述の問題集シリーズを買い、まだ問題集に収録されていない年度の過去問を、この本で個別に埋め合わせていくと良いと思います。
問題集とこの本を合わせて、直近10年分の過去問は最低でもこなせると良いでしょう。
時間がなければ10年分を1週でもいいですが、2週以上できると安定して80%以上の得点ができるようになると思います。
前述の対策テキスト、問題集、この「なるため」本は、全受験生必携です。
次の本。
●IPSA心理学大学院予備校 , 2019, 『臨床心理士等心理系大学院試&資格試験のための心理学標準テキスト ’19~’20年版』, 秀和システム www.amazon.co.jp/dp/4798056294
この本は、前述の対策テキストに盛り込めなかった査定分野の穴を埋めることができる貴重な本です。
特に、ロールシャッハ分野の詳しさは素晴らしいです。
勉強時間に余裕があれば、勉強の最後の詰めとして、この本の査定分野に着手できると万全の体制で試験に臨むことができます。
勉強時間に余裕がない人は、この本の優先順位は低い為、前述の対策テキストをとにかく通読・暗記してください。
【小論文】
次は、小論文についてです。
小論文の過去の出題テーマは、前述の対策テキストと標準テキストに掲載されていますので、それを見て実際に問題演習をしてみましょう。
直近の出題テーマから着手すると、近年の出題動向を早く踏まえることでき、良いと思います。
問題演習の際は、いきなり書き始めることはせず、まずは白紙のメモ用紙に自分の考えをマインドマップのように整理し、文章の構成を完成させます。
試験のときも回答用紙とは別に、白紙のメモ用紙が配られます。
そして問題演習で文章の構成が完成したら、いよいよ回答用紙に清書していきます。
その為、まず、おおよその構成の時間と、清書の時間をはじめに決めることが大事です。
清書にも結構時間がかかる為、構成の時間は20分から30分ぐらいが良いかもしれません。
そのようにして問題演習を普通に行ないます。
そして問題演習をしたら、今度はその出題テーマについて本やインターネットを使って調べながら、より良い答案を時間無制限で作成していきます。
もし勉強に協力してくれる人がいるのであれば、その答案を他の人に見せて添削してもらうと良いでしょう。
そのようにして、問題演習と答案ブラッシュアップと他者からの添削を繰り返していきます。
色々なテーマに対応できるように、最低でも直近5年分の問題演習はやっておきたいです。
10年分の問題演習ができると、より盤石でしょう。
そして、その作成した答案は、何度も通読して復習し、内容を覚えていきましょう。
一つの答案につき、5回以上は通読したいところです。
【面接試験】
次は、面接試験についてです。
面接試験では、様々なことが聞かれます。
たとえば、筆記試験の感想や手応えについて、臨床心理士資格を取得したい理由、臨床心理士になぜなりたいのか、修士論文のテーマは何か、なぜその修論テーマを選んだのか、これまでの学歴や職歴について、大学院生のときの実習はどうだったか、実習で何を学んだか、今は何の仕事をしているのか、仕事で大事なことは何か、仕事で学んだことは何か、心理面接はやっているか、これまでどんなケースを担当したか、心理面接で大事なことは何か、心理査定はやっているか、心理検査は何ができるか、地域援助はやっているか、研究はやっているか、SVは受けているか、スーパーバイザーは誰か、心理臨床学会には入っているか、などは聞かれやすいと思います。
事前に想定される質問については、受験期間中に予め自分の考えを紙に整理しておきましょう。
そして、何度もリハーサルして、自然に思い出して言えるようにしておきましょう。
【まとめ】
今回は、臨床心理士試験で合格ラインまで得点アップさせる勉強法についてのお話をさせて頂きました。
次回も皆さんに役立つお話をしていこうと思っていますので、楽しみにしていてください。
それでは、カウンセリングを行なっている臨床心理士の菜月じゅんでした。
【引用の一覧】
※以下の「★」は全受験生必携。
※以下の「●」は勉強時間に余裕があれば読みたい。
★心理学専門校ファイブアカデミー, 2020, 『一発合格! 臨床心理士対策テキスト&予想問題集』, ナツメ社 www.amazon.co.jp/dp/4816368515
★日本臨床心理士資格認定協会, 2018, 臨床心理士資格試験問題集 4: 平成26年~平成28年, 誠信書房 www.amazon.co.jp/dp/4414416361
★日本臨床心理士資格認定協会, 2020, 『新・臨床心理士になるために[令和2年版]』, 誠信書房 www.amazon.co.jp/dp/4414416698
●IPSA心理学大学院予備校 , 2019, 『臨床心理士等心理系大学院試&資格試験のための心理学標準テキスト ’19~’20年版』, 秀和システム www.amazon.co.jp/dp/4798056294