面倒臭い課題を先延ばししない方法【認知行動療法オンラインカウンセリングルーム】

皆さんこんにちは!臨床心理士の菜月じゅんです!

前回は、課題の細分化の見通しが立たないときについてや、物理的・精神的な作業障害の減らし方など、先延ばし行動克服の為の知恵についてのお話をさせて頂きました!

ところで皆さん、課題に対処できると思えるんだけれども、取りかかるのが面倒臭いとか、こなすのがしんどいな、ってことないですか?

ということで、今回は、対処可能な課題が面倒臭い・しんどいと思っているときの先延ばし行動への対処法についてのお話をさせて頂こうと思います!

【面倒臭い課題の具体例】

対処可能だけど面倒臭いと感じる課題とは具体的には、どんなことがあるでしょうか?

たとえば、部屋の掃除かもしれないし、筋トレかもしれないし、会社でのルーチン業務かもしれないし、日報や報告書、計画書などの事務書類の作成かもしれないし、TOEICの為の英単語の暗記かもしれないですね。

【なぜ面倒臭いのか】

では、なぜそういう課題は面倒臭いんでしょうか?

色々な要因が考えられると思いますが、たとえば、そもそもその作業に興味がなかったり、良い気分になれていないんじゃないでしょうか?

たとえば、好きなゲームは面倒臭いとは思わないですよね?

あるいは、服や化粧品をお店で選ぶことは面倒臭いとは思わないですよね?

それは、ゲームをやるという作業や、服を選ぶという作業に、興味があって良い気分になっているからですよね。

そして、良い気分になるのは、神経伝達物質のドーパミンが関係しています。

脳科学では、ドーパミンが増えると良い気分になるとされています。

その為、何もしてなくてドーパミンが出ていない状態から、なんとかドーパミンが出ている状態に持っていければ気分が良くなって、課題の面倒臭さを乗り越えて作業ができるかもしれないですよね。

【どうすればドーパミンを活性化できるのか】

じゃあどうすればドーパミンを活性化して、面倒臭い課題に取り組みやすくなるのか?

ドーパミンは、好奇心が刺激されると活性化します。また、何かを達成すると活性化されるともされています。他にも食事や運動によってもドーパミンは活性化します。

これらのことから考えると、課題遂行に関して言えば、好奇心や達成感があれば、面倒臭い課題に取り組みやすくなりそうですね。

では、その具体的アクションについて一緒に見ていきましょう。

【課題をやる前にドーパミン活性化】

できれば、課題の作業そのものに好奇心や達成感を感じることができれば良さそうですが、まずは課題に関係なく自分のドーパミンレベルを上げてみましょう。

たとえば、寝起きってやる気に満ちていますか?あまりそういう人はいないんじゃないでしょうか。

課題に取り組む前に、まずは軽い食事や軽い運動をすると、ドーパミンレベルが少し上がってくるので、軽い食事や軽い運動を行なうことは課題遂行に役立ちそうですね。

そして、課題と関係なくても良いので、自分の興味のある作業を少しだけやってみると、ドーパミンの活性化につながると思います。

ただし、その作業にはまりこまないように、5分だけやるなど時間を決めておくことは大事だと思います。

また、達成感も少し感じてみましょう。軽い運動をやり切っても少し達成感はあるかもしれないですし、気楽にできる範囲で軽く部屋の掃除をしても少し達成感があるかもしれません。

そうすれば、ドーパミンがもう少し活性化してきます。

ここまで来れば課題とは関係なく多少のやる気が出てきていると思います。

【課題に取り組む前の準備】

ドーパミンを活性化する要因の一つは、達成感を感じることです。

では、達成感を感じられるようにする為の準備として、まずは、面倒臭いと思っていたやるべき課題の作業をすべて紙に書き出しておきましょう。

そして、課題の作業を細分化しておきましょう。

課題を紙に書き出し、さらに細分化することで、課題の全体像が把握でき、どんな作業をすれば良いか明確になり、課題の進捗状況もすぐにわかるようになります。

また、ドーパミンを活性化させる要因の一つに、好奇心もありましたね。

やろうとしている課題は、面倒臭いと感じる課題かもしれませんが、好奇心も持てるように工夫することは可能です。

たとえば、その課題に関して知的な疑問を持ってみましょう。

たとえば、課題が会社の書類作成なのであれば、「どうすればもっと効率的にできるだろうか?」とか「どうすればもっと美しい書類を作れるか?」など、そういった知的な疑問を持ってみましょう。

そうすると、ただこなすだけの課題が少し味気のあるものになってきますよね。

また、好奇心を刺激する為に、課題に着手する際には、新しいアプローチで取り組んでみましょう。

たとえば、書類作成であれば、業務に支障が出ない範囲でですが、文字のフォントを変えたり、サイズを変えたり、太字やアンダーラインを用いて強調したり、改行を多めに入れてみたり、レイアウトを変えてみるといったことが考えられると思います。

あと言うまでもないですが、もちろん書類によっては厳格に書類の規格を守らないといけない場合もあると思うので、その場合は変えないでください。

【課題に着手する段階】

それでは、ここまでで達成感や好奇心を感じる為の準備を行なってきましたので、実際に課題に着手してみましょう。

ただ、それがこれまで大変だったんですよね?

そうだと思うので、まずは、5分だけ細分化された小さい作業に着手してみましょう。

面倒臭そう、しんどそうな作業であっても5分なら頑張ってやれそうじゃないですか?

一旦5分だけ細分化された小さい作業をやってみましょう。

そうすると、やる前よりも自分が少しだけ前進していることがわかります。つまり達成感があります。そうするとドーパミンが出て気分が少し良くなってきます。

そのようになってくると、このまま作業を続けていける可能性が出てきます。

このようなことを繰り返していると、30分や1時間かかる作業をいつの間にか終えることができていると思います。

【課題をやっている途中でしんどくなってきたら】

もし途中で、身体や気持ちがしんどくなってきたら、5分だけ静かに休憩してみましょう。

休憩中はスマホやテレビは見ません。

あと、今回は解説しないですが、休憩の際は、マインドフルネスやマッサージをすると、よりリフレッシュできると思います。

このように、5分休憩すると少しリフレッシュできるので、また5分だけ課題にチャレンジしてみましょう。

課題をこなすのが面倒臭いというは、明らかにやる気、動機づけが関係していると思われます。

【動機づけ】

この動機づけは心理学的には2種類あるとされています。

それは、内発的動機づけと、外発的動機づけです。

内発的動機づけというのは、作業自体が目的となっている動機づけのことです。

たとえば、ゲームなど作業そのものが楽しいときは、内発的動機づけがなされていると言えそうですね。

一方、外発的動機づけというのは、目的達成の為の手段として作業を行なう動機づけのことです。

たとえば、お金をもらうという目的の為に、手段として仕事をするというのは、外発的動機づけですね。

このようにやる気に関わる動機づけ理論には、内発的動機づけと、外発的動機づけがあります。

【外発的動機づけを活用した先延ばし克服方法】

では、まずは外発的動機づけを活用して、面倒臭い課題の先延ばしをしない方法はないのでしょうか。

課題を先延ばしせずにやることのメリット、そして、課題を先延ばしにしてやらなかったときのデメリットを整理すると良いかもしれません。

メリット、デメリットを検討する際の観点として、たとえば「安全」「理想の人間関係」「成長」「個人的目標」「社会貢献」といった観点が挙げられると思います。

たとえば、会社への出社や業務を先延ばしにしたいと思うことがあるかもしれません。

その際、安全という観点でメリット、デメリットを考えることができます。

たとえば、会社に出社するのを先延ばしにして欠勤したとしたら給料がもらえない、という感じに生活の安全面でデメリットが考えられます。

一方、会社に出社すれば給料はもらえる、という感じで生活の安全面にメリットがあると考えられますね。

また、理想の人間関係という観点でのメリット、デメリットについても見てみましょう。

たとえば、出社を先延ばしして欠勤したら、家族や会社の人との理想的な人間関係から離れてしまうのかもしれません。

逆に、出社できれば理想の人間関係に近付くのかもしれません。

成長という観点でのメリット、デメリットはどうでしょうか。

出社を先延ばしにして欠勤したら、その仕事の専門家としての成長が遅くなるのかもしれません。

逆に、出社を先延ばしせずに出社できていれば、成長は早いのかもしれません。

個人的目標の観点でのメリット、デメリットはいかがでしょうか。

出社を先延ばしにして欠勤すると、スキルを高めて人脈を作って自分の会社を作ろうという個人的目標から遠ざかってしまうのかもしれません。

逆に、出社できていれば、スキルを高める経験ができ、人脈も増えて、自分の会社を作るという個人的目標に近付くかもしれません。

社会貢献の観点でのメリット、デメリットはどうでしょうか。

出社を先延ばしにして欠勤すると、サービスを受けられない人が出て、困る人がいるかもしれませんね。

一方、先延ばしせず出社できていれば、サービスをしっかり提供できて、助かる人が出てくるかもしれませんね。

このように、課題を先延ばしせずにやることのメリット、そして、課題を先延ばしにしてやらなかったときのデメリットを整理すると、やる気が出てきたり、危機感を感じて、先延ばしをしないで行動しようと思えるかもしれませんね。

これが外発的動機づけです。

内発的動機づけの観点から、面倒臭い課題を先延ばしせずに行なう方法についてお話をさせて頂こうと思います!

【内発的動機づけによる先延ばし克服】

内発的動機づけとは、作業自体が目的となっている動機づけのことでした。

内発的動機づけができれば、課題へのやる気が出るため、課題を先延ばししにくくなる可能性があると考えられます。

内発的動機づけを促進するにはどうすれば良いでしょうか?

内発的動機づけの研究によると、内発的動機づけを促進する要因として、「自律性」「有能感」「関係性」があります。

自律性は、自分の裁量で選択し、実行することです。

有能感は、能力を発揮して自分が有能だと感じることです。

関係性は、仲間と一緒に取り組んでいる感覚です。

これらの「自律性」「有能感」「関係性」の要素を、課題を行なうときに感じることができれば、内発的動機づけが促進され、やる気が増し、課題に取り組みやすくなるかもしれませんね。

それでは、自律性の要素を課題に盛り込むとしたら、どのようにできるでしょうか。

たとえば、やらされ仕事の中でも、自分の裁量でできることは少しはあるはずです。

その仕事がどうすればもっと効率的になるか、あるいはどうすればもっと美しくなるか、といった知的疑問を持ちながら、できる範囲で自分の裁量で仕事に取り組むことができれば、課題に自律性の要素を盛り込み、内発的動機づけが促進されると思われます。

また、有能感の要素を課題に盛り込むとしたら、どのようにできるでしょうか。

たとえば、書類作業をやる場面であれば、ゲームのタイムアタックのように作業してみるとか、課題に対して自分なりの採点項目を設けて、個人的に高得点を目指してみるとか、たとえばそういうことが考えられるかもしれませんね。

そして、関係性の要素を課題に盛り込むとすれば、どのようにできるでしょうか。

たとえば、一人で黙々と作業するのもいいですが、関係者にこまめに報告・連絡・相談をすることで、一緒にプロジェクトを進めているという感覚が出てくるかもしれませんね。

このように、自律性、有能感、関係性の要素を課題に盛り込んでいくことで、内発的動機づけが促進され、やる気が出て、課題の先延ばしを減らせるかもしれませんね。

臨床心理士の菜月じゅんでした!それではまた!

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