臨床心理士が『嫌われる勇気』をわかりやすく解説!【アドラー心理学入門】【菜月じゅんカウンセリングルーム】

2021年1月1日アドラー心理学, 人間関係, 仕事

皆さんこんにちは!臨床心理士の菜月じゅんです!

皆さん『嫌われる勇気』という本をご存知でしょうか?

ベストセラーとなったので知っている人も多いと思います。

『嫌われる勇気』とは、2013年に出版された小説仕立ての心理学、自己啓発の本です。

この『嫌われる勇気』、よく聞くけどまだ読んでなくて内容を知らない、そういう人もいるかもしれませんね。

今回は『嫌われる勇気』とはどういう本なのか、臨床心理士がわかりやすくその概要を説明させて頂こうと思います。

【この本について】

この本は、アドラー心理学を学んだ哲人と、人生に苦悩する懐疑的な青年との白熱した議論という形式で書かれています。

この哲人はアドラー心理学を学んだ人なんですが、そもそもアドラーって何?アドラー心理学とは何なのか?ってことですよね。

アドラーは20世紀前半に活躍したオーストリアの精神科医であり、心理学者です。

心理学ではフロイトやユングが心理学者として有名ですが、この本ではアドラーはフロイト、ユングと並ぶ心理学の三大巨頭の一人だと言われています。

そしてそのアドラーが考え、実践した心理学がアドラー心理学という訳です。

この本は哲人と青年の議論という形式で書かれていますが、その中で徐々にアドラー心理学がどのようなものかを学べるそういった書籍となっています。

【世界】

本文で哲人は、世界自身が複雑で問題に満ちているのではなく、自分が世界を複雑に見ているだけであり、世界は本来シンプルであり、世界をどう見るかは自分が決めていると言っています。

これは一般的にアドラー心理学では認知論と読んでいます。

そして、何か上手くできないことがあったとき、「○○だからできない」といった原因論で考えるのではなく、「○○という目的の為に、できていない」という目的論で物事を捉えるのだと、哲人は言っています。

そして、人生を歩むにあたっての思考や行動をアドラー心理学ではライフスタイルと呼んでいますが、哲人はライフスタイルは自分の意志で変えられると言っています。

つまり、世界の見方は自分で変えられるし、自分の意志で行動できる、ということですね。

【対人関係】

また、哲人は、すべての悩みは結局対人関係の悩みであると言っています。

【優越性】

そして、人は優秀になりたい、上手くできるようになりたいという「優越性の追求」を行なう性質があると哲人は言っています。

この優越性の追求自体は、悪いものではなく、成長につながるものでもあるとしています。

【劣等感】

そして、劣等感は思い込みによるものだと言っています。

これは先程の認知論の観点からも言えることですね。

たとえば、背が低いという劣等感を感じている人がいるとして、でも背が低いことで相手に威圧感を与えないソフトな雰囲気を与えられるという良い面もあり、結局背が低いことが悪いと劣等感を感じているとしても、それは絶対的な事実ではなく、自分がそう思っているだけ、思い込んでいるだけということですね。

このように優越性の追求や劣等感を感じるということは、人に自然に起こることであり、悪いものではないとされています。

【劣等コンプレックス】

しかし、劣等感が劣等コンプレックスになってしまうと良くないと語られています。

劣等コンプレックスとは、劣等感を何かの言い訳として使うことです。

そのような劣等コンプレックスは人の成長や幸せを疎外していくので、不健全ということですね。

【目標】

また、アドラー心理学には人が目指すべき目標があると哲人は言っており、行動面の目標として「自立すること」と「社会と調和して暮らせること」を挙げています。

さらに、心理面の目標として「私には能力があるという意識」と「人々は私の仲間であるという意識」を挙げています。

【人生のタスク】

また、人生のタスク、つまり人生の課題と呼ばれるものがあると哲人は言います。

さらにその人生のタスクには種類があり、仕事のタスク、交友のタスク、愛のタスクに分けられると語っています。

仕事のタスクとは、仕事に関する課題であり、とりわけ仕事上の対人関係の課題のことを指しています。

交友のタスクとは、プライベートでの友人的関わりにおける課題のことです。

愛のタスクとは、家族など特に親密な相手との関わりにおける課題のことだと哲人は言っています。

このように人生には、仕事、交友、愛のタスクがあり、このタスクに向き合うことが人生を豊かにするのに重要であるということですね。

【承認欲求】

また、アドラー心理学は承認欲求を否定すると哲人は言います。

承認欲求というのは、人から高く評価されたい、ちやほやされたい、という欲求のことです。

その承認欲求を否定するということですね。

そしてなぜ承認欲求を否定するのかというと、承認欲求を求めて生きることは他者に媚びて生きるような不自由な生き方であり、自分の人生なのに他者の人生を生きているかのようになるので良くないということですね。

そして、自由に生きる為に、他者に媚びず、承認欲求を否定するのだということです。

【課題の分離】

また、課題の分離も重要であると哲人は言います。

課題の分離とは、ある課題についてその課題の責任を最終的に引き受けるのは本当は誰なのかを知り、他者の課題には踏み込まない、自分の課題には踏み込ませないという分離を行なうことです。

そのように課題の分離を通して、それぞれの人が自分の人生の主人公として、責任を持って生きていくことが人生のタスクに向き合い、自由な人生につながるということですね。

【共同体感覚】

さらに、哲人は共同体感覚が大事であると言います。

共同体感覚というのは、他者や自然の環境などに対して所属している感覚や、それらに対して無条件に信頼している感覚、貢献している感覚のことを言います。

そして、ありのままの自分を受け入れることを通して、他者も無条件に信頼できるようになり、他者への信頼が芽生えると他者に貢献していく気持ちや行動が出てくるとしています。

そのように共同体感覚を持つことができれば、自分の価値を感じることができ、他者に媚びて承認欲求を求める必要がないと哲人は言っています。

また、対人関係では他者をほめたり、けなしたり、評価するような上下関係ではなく、同列の仲間として相手を勇気づけていくようなことが大事であるとも哲人は言っています。

以上のようなことが本文で語られていました。

ポイントを改めて確認すると、劣等感を言い訳にしないで自分の人生の主人公として自分の人生に責任感を持ち、人生のタスクに向き合い、ありのままの自分を認め、他者を仲間だと思い、仲間に貢献していくことで、自分の価値を感じられるようになるし、承認欲求の為に不自由な人生を送らなくて済むのではないか、ということをアドラー心理学を学んだ哲人は言っていたということですね。

いかがでしたでしょうか。

ベストセラー『嫌われる勇気』の概要が少しわかったんじゃないでしょうか。

皆さんも人生に役立ちそうな点がありましたら、取り入れてみるのもいいかもしれませんね。

『嫌われる勇気』の詳細が気になる方は、買って読んでみて下さい。

今回はベストセラー『嫌われる勇気』について臨床心理士がわかりやすく概要を説明させて頂きました!

それでは臨床心理士の菜月じゅんでした!それではまた!