【保存版】臨床心理士が解説!臨床現場のアドラー心理学!【カウンセリング】【菜月じゅんカウンセリングルーム】

2020年7月18日アドラー心理学, ストレス, 人間関係, 仕事

皆さんこんにちは!臨床心理士の菜月じゅんです!

前回はアドラー心理学の基本的な理論である「ライフタスク」「ライフスタイル」「目的論」「対人関係論」「認知論」「全体論」「主体論」「優越性の追求」について解説させて頂きました!

今回はカウンセリングの現場で使うアドラー心理学ついて解説させて頂こうと思います!

【アドラー心理学のカウンセリング】

アドラー心理学のカウンセリングは概ね、信頼関係の構築、アセスメント、気付きの促進、再方向づけの流れで進行していくとされています。

ここで言う、「アセスメント」というのは、査定という英単語ですが、アドラー心理学においては、クライエントはどのような人なのかを調べること、とりわけクライエントのライフスタイルがどのようなものかを調べるということです。

また、「再方向づけ」というのは、これまでの自分のライフスタイルを理解した上で、これからどうしていくかを決め、行動していくことです。

このように、アドラー心理学のカウンセリングでは、信頼関係の構築、アセスメント、気付きの促進、再方向づけを行なっていきますが、実際はすべてのプロセスが同時に進行することが多いようです。

それでは今度は、アドラー心理学のカウンセリングで使われる技法について見ていきましょう。

【問題行動の目的に気付く】

アドラー心理学では、「問題行動の目的に気付く」ことも重要だとされます。

問題行動の目的に気付く方法として、「何の為にそうしたと思いますか?」という質問、「もしかして○○したかったということはないですか?」という質問、「もし今悩んでることが解決したとして、人生の何が変わりますか?何をすることになりそうですか?」といった質問、「その行動によるデメリットではなく、メリットにはどんなものがありそうですか?」といった質問、「その問題行動の相手役は誰でしょうか?」といった質問、「その相手役に対してどんな目的を持って行動していると思いますか?」といった質問、「その行動を受けた相手役はどんな反応をしていますか?」といった質問などがあります。

そのようにして、問題行動の目的に気付いていきます。

また、問題行動の目的のパターンとして「注目を得る」「権力を得る」「復讐」「無気力」「興奮」「仲間からの承認」「優越」などがあるとされます。

それらの目的が見られたときの関係者の対応としては、不適切な行動に注目しないこと、適切な行動に注目すること、争わないこと、批判しないこと、共感すること、勇気づけることなどが良いとされているようです。

このように、アドラー心理学では、「問題行動の目的に気付く」ことも重要だとされます。

【早期回想】

また、アドラー心理学では、「早期回想」も有用な技法だとされます。

「早期回想」とは、子どもの頃の印象的なストーリー性のある、感情を伴った複数のエピソードを具体的に思い出す作業のことです。

アドラーは、回想によって過去の事実が思い出されるのではなく、回想によって現在の自分のある目的に沿う形で必要な情報が思い出されると言っています。

早期回想の解釈のポイントとしては、その回想のテーマは何か、主人公は何をしていてどんな感情があるか、解決したかどうか、建設的なものか破滅的なものか、教訓は何か、などの観点が挙げられます。

そしてその早期回想の解釈をクライエントに伝えて、どう思うか確認します。

その上で、ライフスタイルの3つの側面である「世界像」「自己概念」「自己理想」がどのようになるか整理や検討ができると良いと思われます。

そして、そのように早期回想とカウンセラーによるその解釈によって、クライエントが自分のライフスタイルに気付きやすくなります。

そして、そのライフスタイルが今の自分にとって生きにくいものであれば、勇気を持って新しいライフスタイルを作っていくと良いと考えられます。

このように、アドラー心理学では、「早期回想」も有用な技法だとされます。

【課題の分離】

また、アドラー心理学では、「課題の分離」も大事だとされます。

「課題の分離」とは、課題に対して本来責任を持つ人が誰なのか明らかにし、責任者が解決できるようにすることです。

そして課題には「自分の課題」「相手の課題」「共同の課題」があります。

「自分の課題」とは、自分が責任を持って解決していく課題です。

たとえば、自分が通う学校の宿題は「自分の課題」ですね。

そして、「相手の課題」とは、相手が責任を持って解決していく課題です。

たとえば、子どもの通っている学校の宿題は、子どもの課題、つまり「相手の課題」にあたります。

そして、「共同の課題」とは、自分と相手が一緒に責任を持って解決していく課題です。

これはたとえば、食器洗いとか洗濯などの家事は、奥さんと旦那さんと子どもの「共同の課題」の場合が多いかもしれませんね。

このように、課題には「自分の課題」「相手の課題」「共同の課題」があり、適切に課題を分離させることがアドラー心理学では重要だとされています。

課題の分離の方法としては、課題を紙に書いてそれが誰の課題なのか改めて整理すること、相手の課題には踏み込まないこと、自分の課題には踏み込ませないこと、共同の課題にしたい課題は相手に一緒に取り組みたい課題があることを伝えて協力を得て解決に向かって話し合っていくこと、といったことが挙げられます。

このように、アドラー心理学では、「課題の分離」も大事だとされます。

【主体性の促進】

また、アドラー心理学では、「主体性の促進」も大事です。

主体性の促進する方法として、たとえば、自分の意見を述べてもらうこと、選択肢から選んでもらうこと、役割を持ってもらうこと、自分の行動に責任を持ってもらうこと、いつもと違う行動をしてもらうことなどがあります。

このように、アドラー心理学では、「主体性の促進」も大事です。

【結末技法】

また、アドラー心理学では、「結末技法」も有用だとされます。

「結末技法」とは、相手に「自然の結末」や「論理的結末」を体験してもらうことで、自分の課題や行動に責任を持たせたり、反省や成長ができるようにすることです。

「自然の結末」とは、他者の介入がない中、本人の行動の結果、自然に起きる結末のことです。

「論理的結末」とは、本人の行動の結果、社会的なルールに基づいて起きる結末のことです。

このような結末技法を用いることで、当人の課題や行動に責任を持ってもらったり、反省や成長を促進することにつながると考えられます。

【共同体感覚の促進】

また、アドラー心理学では、「共同体感覚の促進」も重要だとされます。

「共同体感覚」とは、人々や自然環境に対して所属している感覚、仲間として無条件に信頼できる感覚、貢献している感覚などのことです。

アドラーは、人が幸せに生きる為には、共同体に所属して貢献することが必要だとしています。

たとえば、人は一人ではまともに生きられません。

食べ物、家、服、電気、スマホ、ゲームなど自分一人で作って生活するのはとても困難ですね。

そこで、家族という共同体、学校という共同体、会社という共同体、市区町村という共同体、国という共同体に所属し、共同体のメンバーたちがお互いに様々な貢献をし合って、様々な恩恵を受けることができています。

その為、当たり前のようなことですが、「共同体感覚」、つまり人々や自然環境に対して所属している感覚、仲間として無条件に信頼できる感覚、貢献している感覚を持つということは幸せに生きる為に重要となってくるとされます。

そして、カウンセリングでもクライエントの共同体感覚の促進が重要になります。

共同体感覚の促進としては、たとえば、カウンセラーがクライエントを仲間として受け入れていることをクライエントに理解してもらうことや、クライエントが共同体に貢献できている点を意見したり、貢献できていそうな点を質問を通して自覚してもらうことなどが考えられると思います。

このように、アドラー心理学では、「共同体感覚の促進」も重要だとされます。

【自己理想の検討】

アドラー心理学では、「自己理想の検討」も重要だとされます。

自己理想とは、自分がどのようになりたいか、つまり自分の向かう目標ということです。

現在の自分の自己理想を再度検討して、自己理想が明確になれば、これからどこに向かって行けば良いか方向が見えてきます。

自己理想を検討する際には、共同体感覚を踏まえ、本当に自分が幸せになれる目標を設定することが大事になってきます。

このように、アドラー心理学では、「自己理想の検討」も重要だとされます。

【基本的誤りの修正】

アドラー心理学では、「基本的誤りの修正」も重要です。

「基本的誤り」とは、上手く機能していない私的論理、つまり物事に対する自分の結論・ルールです。

たとえば、過度の一般化、間違ったあるいは不可能な安全の目標、人生についての間違った認識、自分の価値の否定や過小評価、間違った価値などがあるとされます。

過度の一般化というのは、物事の判断を「すべてそうなんだ」「常にそうなんだ」と、あらゆる状況に当てはまるかのように考えることです。

間違ったあるいは不可能な安全の目標というのは、たとえば「世界は敵だらけだから協力するなんてことはありえなくて、逃げるか戦わないと安全ではいられない」というような考え方です。

人生についての間違った認識というのは、たとえば「人生はつらいことしかない」などの考え方です。

自分の価値の否定や過小評価というのは、たとえば「私には価値がない」といった考え方などです。

間違った価値というのは、たとえば「自分が成功する為には他者を犠牲にしても構わない」などの考え方です。

このように、過度の一般化、間違ったあるいは不可能な安全の目標、人生についての間違った認識、自分の価値の否定や過小評価、間違った価値などの基本的誤りを修正し、バランスの取れた健全な考え方を持てるようになると、生きやすくなると思われます。

このように、アドラー心理学では、「基本的誤りの修正」も重要です。

【補償】

アドラー心理学では、「補償」も重要です。

「補償」とは、劣等感を補うために建設的に努力をする健全な反応のことです。

たとえば、勉強が苦手な人が努力して勉強し、その後に勉強ができるようになり、劣等感を補うということが考えられます。

あるいは、勉強が苦手な人がスポーツを頑張って成果を出し、劣等感を補うといったことが考えられます。

それがアドラー心理学の「補償」であり、劣等コンプレックスのようにライフタスクを放置することなく、補償することによって社会に適応していけるようになっていくと思われます。

このように、アドラー心理学では、「補償」も重要です。

【勇気づけ】

アドラー心理学では、「勇気づけ」も大事です。

「勇気づけ」とは、その人が課題に対して自信と責任を持ち、主体的・協力的に行動できるように関わることです。

勇気づけの方法としては、カウンセラー自身の勇気がくじけないようにすること、カウンセラー自身が自分を勇気づけること、相手の勇気がくじけないようにすること、相手を勇気づけることなどがあるとされます。

また、勇気づけの種類には、直接的な意見型の勇気づけと、間接的な質問型の勇気づけがあるとされます。

たとえば、意見型の勇気づけの具体的な言葉の例として「ありがとうございます」「嬉しいです」「助かります」などがあります。

また、間接的な質問型の勇気づけの例としてはたとえば、「そのときはどうやって乗り越えたんですか?」などがあると思います。

このように、アドラー心理学では、「勇気づけ」も大事です。

今回はカウンセリングの現場で使うアドラー心理学ついて解説させて頂きました!

次回も皆さんに役立つお話をさせて頂こうと思いますのでお楽しみに!

それでは臨床心理士の菜月じゅんでした!それではまた!