【保存版】臨床心理士が解説!本当のアドラー心理学!【『嫌われる勇気』でおなじみ】【菜月じゅんカウンセリングルーム】

2020年7月18日アドラー心理学, ストレス, 人間関係, 仕事

皆さんこんにちは!臨床心理士の菜月じゅんです!

『嫌われる勇気』でおなじみのアドラー心理学ですが、『嫌われる勇気』に書かれていないアドラー心理学も知りたい、アドラー心理学をちゃんと学びたいという人の為に、臨床心理士がアドラー心理学について解説していきます。

今回はアドラー心理学の基本的な理論である「ライフタスク」「ライフスタイル」「目的論」「対人関係論」「認知論」「全体論」「主体論」「優越性の追求」などについて解説していきます。

【ライフタスク】

アドラー心理学の基本的な理論に「ライフタスク」があります。

「ライフタスク」とは、人生の課題のことを言います。

そしてライフタスクには、「自己のタスク」「仕事のタスク」「交友のタスク」「愛のタスク」などがあるとされています。

「自己のタスク」とは、自分自身とどのように向き合うかという課題です。

たとえば、自分による自分の評価や、自信を持てるかどうか、ありのままの自分を受け入れられているかどうか、などの課題が自己のタスクとして考えられると思われます。

そして「仕事のタスク」とは、職場や学校など生産的な活動を行なう上での課題です。

たとえば、業務を適切に遂行すること、仕事上の対人関係を良好にすること、授業を適切にこなすこと、授業で関わる対人関係を良好にすることなどの課題が仕事のタスクとして考えられます。

そして「交友のタスク」とは、仕事以外での身近な対人関係における課題です。

たとえば、職場やクラス、プライベートでの友人との対人関係を良好にすることなどの課題が交友のタスクとして考えられます。

そして「愛のタスク」とは、親密な対人関係における課題です。

たとえば、家族や恋人との対人関係を良好にすることなどの課題が愛のタスクとして考えられます。

以上のように、人生の課題である「ライフタスク」というものがあり、ライフタスクには「自己のタスク」「仕事のタスク」「交友のタスク」「愛のタスク」などがあるとされています。

【ライフスタイル】

アドラー心理学の基本的な理論に「ライフスタイル」があります。

「ライフスタイル」とは、その人が生活していく上での考え方や行動のパターンのことを指しています。

そしてライフスタイルは、10歳ぐらいまでに、遺伝や環境といった外的要因がある中で、本人がどのように考え、行動してきたかによって作られていきます。

【ライフスタイル形成の要因】

そしてライフスタイル形成の要因には「気質」「器官劣等性」「家族布置」「家族価値」「家族の雰囲気」などの要因があるとされます。

「気質」とは、遺伝によって先天的に決まる情動反応の傾向のことです。

「器官劣等性」とは、生活に支障をきたす身体の障害のことです。

「家族布置」とは、家族の人数、どんな親か、どんな兄弟か、出生順位、年齢差、家族それぞれの関係性など、家族がどのようになっているかのことです。

「家族価値」とは、その家族の間で共有されている家族の理想や目標のことです。

この家族価値は色々な側面があり、経済的、社会的、身体的、行動的、性格的、性的な側面があるとされます。

たとえば、ある家族における家族価値には「背が高くて痩せてる体型が理想的だ」といった家族価値があるかもしれませんね。

「家族の雰囲気」とは、家族の間にある雰囲気のことであり、開放的、閉鎖的、協力的、批判的、受容的など様々な雰囲気があるとされます。

このように、ライフスタイル形成の要因には「気質」「器官劣等性」「家族布置」「家族価値」「家族の雰囲気」などの要因があるとされます。

【ライフスタイルの構成要素】

さらに、ライフスタイルの構成要素には「世界像」「自己概念」「自己理想」といった要素があるとされます。

「世界像」とは、世界はどういうものであるか、他者は自分にとってどういう存在であるか、ということについての自分の考えです。

「自己概念」とは、自分はどんな人であるか、ということについての自分の考えです。

「自己理想」とは、何を得たくて、何を目指し、何を避けたいのか、ということについての自分の考えです。

このように、ライフスタイルの構成要素には「世界像」「自己概念」「自己理想」といった要素があるとされます。

【ライフスタイルのパターン】

さらに、ライフスタイルのパターンとして、「ベイビー」「プリーザー」「ゲッター」「エキサイトメント・シーカー」「ドライバー」「コントローラー」「ヴィクティム」などがあります。

「ベイビー」とは、遊ぶことが好きであり、愛されたがり、一人で居ることが苦手なライフスタイルのパターンです。

「プリーザー」とは、人から嫌われることが怖く、人から承認を求め、人の心を読むのが上手いライフスタイルのパターンです。

「ゲッター」とは、相手から搾取するようなライフスタイルのパターンです。

「エキサイトメント・シーカー」とは、安全よりも刺激的なことを求めようと考え、行動するライフスタイルのパターンです。

「ドライバー」とは、全力で目標達成しようと考えて行動するライフスタイルのパターンです。

「コントローラー」とは、自分や周りを計画的にコントロールしたいと考え、行動するライフスタイルのパターンです。

「ヴィクティム」とは、自分は犠牲になりやすい人だと感じており、それは不当だと思っているようなライフスタイルのパターンです。

このように、ライフスタイルのパターンとして、「ベイビー」「プリーザー」「ゲッター」「エキサイトメント・シーカー」「ドライバー」「コントローラー」「ヴィクティム」などがあります。

そして、アドラー心理学では基本的な理論として「目的論」「対人関係論」「認知論」「全体論」「主体論」「優越性の追求」などもありますが、これらも考慮すると、その人のライフスタイルを知る上でその人の「目的」「対人関係」「認知の仕方」「心と体の状態」「主体性」「優越感・劣等感」の観点からライフスタイルを知ることも重要だと言えそうです。

【目的論】

アドラー心理学の基本的な理論に「目的論」があります。

「目的論」とは、人の行動には意識的な目的や無意識的な目的があるという考え方です。

その為、アドラー心理学の目的論では、病的な症状・行動にも実は何らかの目的があると考えます。

たとえば、次の日は出勤日なのになぜか夜更かししてしまい、次の日寝坊して遅刻しようになったとします。

これをアドラー心理学の目的論の観点から考えると、たとえば、夜更かししてしまったのは会社に行きたくないという目的があるからではないか、という見立てを考えたりします。

以上のように、人の行動には何らかの目的があるはずだとするのがアドラー心理学の「目的論」です。

【対人関係論】

また、アドラー心理学の基本的な理論に「対人関係論」があります。

「対人関係論」とは、対人関係の問題を解決する目的で、人は行動しているという考え方です。

たとえば、子どもが学校や家庭で問題行動をしている場面を考えてみましょう。

そのとき、子どもは対人関係における問題を感じており、不器用な問題解決行動を取ることがあります。

そのとき子どもは「注目を得る」「権力を得る」「復讐」「無気力」「興奮」「仲間からの承認」「優越」などの対人関係上の目的から行動している場合があると考えられます。

以上のように、人の行動は対人関係上の問題解決の目的から来ているというのがアドラー心理学の「対人関係論」です。

【認知論】

また、アドラー心理学の基本的な理論に「認知論」があります。

「認知論」とは、人は他者とは違う自分独自の意味づけを通して物事を理解しているという考え方です。

そして、物事に対する自分の結論・ルールを「私的論理」と言います。

たとえば、「社会には優しい人たちがたくさんいると思う」とか「家に帰ったら手洗いとうがいは必ずすべきだと思う」といった私的論理があるかもしれませんね。

私的論理の中には生活する上で上手く機能している私的論理もあれば、上手く機能していない私的論理もあるとされています。

その上手く機能していない私的論理を「基本的誤り」と呼びます。

たとえば、基本的誤りの種類には、過度の一般化、間違ったあるいは不可能な安全の目標、人生についての間違った認識、自分の価値の否定や過小評価、間違った価値などがあるとされます。

過度の一般化というのは、物事の判断を「すべてそうなんだ」「常にそうなんだ」と、あらゆる状況に当てはまるかのように考えることです。

間違ったあるいは不可能な安全の目標というのは、たとえば「世界は敵だらけだから協力するなんてことはありえなくて、逃げるか戦わないと安全ではいられない」というような考え方です。

人生についての間違った認識というのは、たとえば「人生はつらいことしかない」などの考え方です。

自分の価値の否定や過小評価というのは、たとえば「私には価値がない」といった考え方などです。

間違った価値というのは、たとえば「自分が成功する為には他者を犠牲にしても構わない」などの考え方です。

このように、基本的誤りの種類には、過度の一般化、間違ったあるいは不可能な安全の目標、人生についての間違った認識、自分の価値の否定や過小評価、間違った価値などがあるとされます。

以上のように、考え方によって生きにくかったり、生きやすかったり、ということが変わってくるのがアドラー心理学の「認知論」です。

【全体論】

アドラー心理学の基本的な理論に「全体論」があります。

「全体論」とは、人は分割できない一つの全体であるという考え方です。

つまり、人の心と体に関して言うと、人の心と体は別物として理解するものではなく、心と体はひとつのまとまりを持った全体であると考えるということです。

たとえば、なぜか身体がだるいというとき、同時に精神面では無気力感や憂うつ感があり、心と体は分解できず一つのまとまりであると考えるのが全体論です。

以上のように、人は分割できない一つの全体であると、全体論の観点から考えることで、自分や他者の状態や行動がなぜそうなっているのか正しく知ることができます。

【主体論】

アドラー心理学の基本的な理論に「主体論」があります。

「主体論」とは、自分がどうなるかは遺伝や環境によって多少の影響を受けるが、遺伝や環境のみによって決定する訳ではなく、自分の意志と行動で決定することができるという考え方です。

たとえば、先天的に目が見えなくて絶望しながら生きていくという人生もあるかもしれません。

しかし、主体論の観点で考えると、もし先天的に目が見えなくても色々なことにチャレンジして楽しみを見つけながら生きていく人生を歩むことも、本人の主体的な意志と行動によって可能になると考えます。

他にもたとえば、発展途上国で生まれて教育体制も整っていないし、学費も出せないし、自分は高度な大学に進学することはできないと思って生きていく人生もあるかもしれません。

しかし、これを主体論の観点で考えると、もしそのように教育体制がないとしても、なんとかお金を貯めてスマホの使える地域に移動してスマホを使って猛勉強し、長い期間かけて学費を貯め、海外の高度な大学に進学する人生を歩むことは、本人の主体的な意志と行動によって可能になると考えます。

以上のように、自分の人生は遺伝や環境ですべて決まるものではなく、自分の主体的な意志と行動で変えられるというのがアドラー心理学の「主体論」です。

【優越性の追求】

また、アドラー心理学の基本的な理論に「優越性の追求」があります。

「優越性の追求」とは、優秀になりたい、もっと上手くやりたいと考えて行動することであり、健全な場合と不健全な場合があります。

たとえば、サッカーを上手くなりたいとか、コンビニで接客のアルバイトが上手くできるようになりたいとか、英会話できるようになりたいとか、そういった優越性の追求があるかもしれませんね。

そして、優越性の追求に関連するものとして、「劣等性」「劣等感」「劣等コンプレックス」「補償」があります。「劣等性」とは、生活する上での不利な客観的な属性のことです。

たとえば、先天的に耳が聞こえないとか、交通事故で歩けなくなったとか、重度の知的障害であるなど日常生活が不利になりやすい客観的属性を劣等性と言います。

「劣等感」とは、生活する上での何らかの客観的な属性を、主観的に不利だと感じる健全な反応のことです。

たとえば、交通事故で脚が不自由で、サッカーをやりたいのにできないんだなと主観的に不利だと感じることです。

「劣等コンプレックス」とは、ライフタスクから逃げる言い訳として劣等感を用いるような不健全な反応のことです。

たとえば、交通事故で脚が不自由だから、友達との交流が減ってしまって友達が上手く作れないのは仕方ないことだ、と劣等感を言い訳として用いることです。

「補償」とは、劣等感を補うために建設的に努力をする健全な反応のことです。

たとえば、勉強が苦手な人が努力して勉強し、その後に勉強ができるようになり、劣等感を補うということが考えられます。

あるいは、勉強が苦手な人がスポーツを頑張って成果を出し、劣等感を補うといったことが考えられます。

以上のように、人は当たり前の自然な感情として劣等感を感じ、その劣等感を払拭して優越した状態になろうとすることが「優越性の追求」であり、優越性の追求の方法には、健全な「補償」と、不健全な「劣等コンプレックス」があります。

今回はアドラー心理学の基本的な理論である「ライフタスク」「ライフスタイル」「目的論」「対人関係論」「認知論」「全体論」「主体論」「優越性の追求」について解説させて頂きました!

次回はカウンセリングの現場で使うアドラー心理学ついて解説させて頂こうと思いますので、お楽しみに!

それでは臨床心理士の菜月じゅんでした!それではまた!