皆さんこんにちは。
カウンセリングを行なっている臨床心理士の菜月じゅんです。
皆さんの中には臨床心理士指定大学院に進学しようと思っている人がいると思います。
「研究計画書を大学院に提出しないといけないけど、研究計画書がどんな物かよくわからない。そもそも修士論文ってなんだ?」っていう人、結構いるんじゃないでしょうか?
今回は、臨床心理士指定大学院での修士論文と研究計画書についてわかりやすく解説していきたいと思います。
【概要】
それではまず概要について。
臨床心理士指定大学院で書くことになる修士論文は「臨床心理学に関するオリジナリティーがある研究テーマ」である必要があります。
そして「問題」「目的」「方法」「結果」「考察」という章立て、引用文献のページ、目次、論文名など文章構成をします。
書いていく文章量はWordのA4サイズで数十ページ程度です。
それでは、個別に詳しく見ていきましょう。
【臨床心理学に関するオリジナリティーがある研究テーマ】
臨床心理学に関するオリジナリティーがある研究テーマについて。
そもそも臨床心理学に関するオリジナリティーがある研究テーマとは何なのか、ということですね。
臨床心理学に関するオリジナリティーがある研究テーマというのは簡単に言うと、今よりも人が精神的に元気になることに役立つ研究テーマであり、それが過去に研究されていない未開拓のテーマであるということです。
研究テーマのパターンとして考えられるのは、一つ目が「認知・行動・感情・身体の状態を測定する心理尺度の作成」、二つ目が「特定の集団の認知・行動・感情・身体などの関係性の分析」、三つ目が「特定の集団の認知・行動・感情・身体などの特徴の整理」などです。
「認知・行動・感情・身体の状態を測定する心理尺度の作成」というのは、たとえば抑うつ感情の度合いを測ることができる質問紙を作成するということです。
その際には、測定概念の明確化、質問項目の考案、集団への質問紙調査の実施、因子分析などを行なったりします。
そして、「特定の集団の認知・行動・感情・身体などの関係性の分析」というのは、たとえば、大学生に認知療法的介入を行なって抑うつ感情にどのような影響が出るのか量的研究で分析を行うということです。
量的研究では必要に応じて、集団への介入の実施、集団への質問紙調査の実施、分散分析、重回帰分析、共分散構造分析などを行なったりします。
そして、「特定の集団の認知・行動・感情・身体などの特徴の整理」というのは、たとえば、大学生が大学生活で抑うつを感じるときの様々な要素についてどのような特徴があるかを質的研究で分析するということです。
質的研究では必要に応じて、集団への介入の実施、集団へのインタビュー調査実施、KJ法、M-GTAなどを行なったりします。
このように、研究テーマのパターンとして考えられるのは、一つ目が「認知・行動・感情・身体の状態を測定する心理尺度の作成」、二つ目が「特定の集団の認知・行動・感情・身体などの関係性の分析」、三つ目が「特定の集団の認知・行動・感情・身体などの特徴の整理」などです。
しかもこれらの研究テーマにはオリジナリティーが必要です。
たとえばベックの抑うつ尺度にすごく似ている心理尺度の作成を修士論文の研究テーマにしようとしても却下されます。
過去に研究されているテーマだからです。
その為、大学院生は自分の興味のある研究テーマが見えてきたら、過去に同じ研究がないか調べて研究内容がかぶっていないかチェックしていく必要があります。
そして、過去に誰も研究していない未開拓のテーマを頑張って見つけていくということです。
【文章構成】
次は文章構成について。
研究テーマを決めて、先行研究や調査や分析を行なったら、修士論文を具体的に書いていきましょう。
修士論文を書く際には「問題」「目的」「方法」「結果」「考察」という章立てをします。
「問題」の章では、今回研究テーマとして設定する背景となった問題ある社会の現状について書いていきます。
問題ある社会の現状については、過去の論文や書籍や統計調査を読み、そういった先行研究を踏まえて書いていきます。
「目的」の章では、この研究テーマの結果を明らかにすることが人々の精神を元気にすることに役立つ社会的意義があるということを書いていきます。
問題と目的の章は、別々で書かれることもありますが、「問題・目的」という一つの章で書いても構いません。
「方法」の章では、研究を行なうに当たっての「調査対象者」「使用する心理尺度」「介入手続き」「インタビュー手続き」などの詳細を書いていきます。
「結果」の章では、調査結果や分析結果の事実を図表を交えながら淡々と書いていきます。
「考察」の章では、結果の章でわかった事実から考えられることを先行研究や主観を交えて自由に述べていきます。
結果と考察の章は、別々で書かれることもありますが、「結果・考察」という一つの章で書いても構いません。
このように、修士論文を書く際には「問題」「目的」「方法」「結果」「考察」という章立てをして書いていきます。
引用文献は、「考察」の次、つまり論文の最後に書いていきます。
目次は、表紙の次のページから、章や節のタイトルとその右端にそれぞれページ数を書きます。
論文名は、修士論文の中身が書けた後、学術的に一番しっくりくる論文名を考案し、表紙に書きます。
たとえば「○○尺度の開発」とか「○○と○○との関連」とか「○○が○○に与える影響」といった論文名が多い印象です。
【文章量】
次は文章量について。
修士論文はWordで5ページぐらいの文章量だと短すぎて受理されません。
修士論文は数十ページ程度の文章量が必要になります。
大学院ごとに必要なページ数は大きく異なりますが、50ページ前後ぐらいの印象です。
結構なページ数が必要になってくる為、簡単な研究内容だと10ページ、20ページで書くことがなくなってくると思います。
その為、ある程度密度の濃い研究内容にした方が後々書くネタがなくて困るということが減ると思います。
【研究計画書】
最後に研究計画書について。
研究計画書は、修士論文の暫定の論文名と「問題」「目的」「方法」までの章を書いたものです。
文章量はWordでA4サイズ1、2枚程度で、2000字ぐらい書ければ良いと思います。
表紙は不要です。
目次も不要です。
【まとめ】
今回は、臨床心理士指定大学院での修士論文と研究計画書についてわかりやすく解説させて頂きました。
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高評価とチャンネル登録もよろしくお願いします。
カウンセリングを行なっている臨床心理士の菜月じゅんでした。
それではまた。